Jリーグは、新たな成長戦略として、2024年シーズンから各カテゴリー(J1、J2、J3)のチーム数を「20」に統一することを決定しました。この大きな変更に向けて、2023年シーズンの昇格・降格枠は昨シーズンとは異なり、特にJ1からJ2への降格は「1」チームになっています。
この記事では、J1リーグが後半戦を迎えるにあたり、1998年から始まったJ2への降格制度の歴史を振り返ります。そして、現在のシーズンで降格の危機に瀕しているチームはどこなのか、その予測を試みます。さらに、最新のリーグ順位など、各チームの現状を明らかにし、これからの展開を予測するための情報も提供します。
1998シーズン以降の最下位チーム
2023シーズンでは、J1からJ2への降格は最下位の1チームのみとなります。つまり、最下位を避ければJ1に残留できます。ここでは、過去のシーズン、具体的には1998年から2022年までの間にJ1で最下位となり、降格したチームをまとめました。
1999年:ベルマーレ平塚
2000年:川崎フロンターレ
2001年:セレッソ大阪
2002年:コンサドーレ札幌
2003年:京都パープルサンガ
2004年:柏レイソル ※
2005年:ヴィッセル神戸
2007年:横浜FC
2008年:コンサドーレ札幌
2009年:ジェフユナイテッド千葉
2010年:湘南ベルマーレ
2011年:モンテディオ山形
2012年:コンサドーレ札幌
2013年:大分トリニータ
2014年:徳島ヴォルティス
2015年:モンテディオ山形
2017年:大宮アルディージャ
2018年:Ⅴ・ファーレン長崎
2019年:アビスパ福岡
2020年:湘南ベルマーレ ※
2021年:横浜FC
2022年:ジュビロ磐田
2004シーズンは、J1のチーム数が前シーズンの16から18に拡大されるエクスパンションが行われた年で、そのため最下位になった「柏レイソル」は降格を免れました。
また、2020シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大により、全てのJ1チームが特例として残留することが決定されました。そのため、その年の最下位だった「湘南ベルマーレ」も降格を避けることができました。
最下位だけど降格しなかったチーム
J2リーグが開幕したのは1999年で、それ以前の1993年から1997年の5シーズンは、Jリーグの参加クラブ数を増やすために、どのチームも降格することはありませんでした。
つまり、最下位になっても下部リーグに降格しなかったシーズンが存在します。その時の最下位チームについて、以下で紹介します。
1994年:浦和レッズ(1st) / 名古屋グランパスエイト(2nd)
1995年:柏レイソル(1st) / ベルマーレ平塚(2nd)
1996年:京都パープルサンガ
1997年:アビスパ福岡(1st) / ヴィッセル神戸(2nd)
もっとも多く最下位になったチームは?
J30年の歴史の中で、最下位になった回数が最も多いのは2チームあります。それぞれ南と北のチームで、両チームともに3回最下位になっています。
「アビスパ福岡」は、降格制度が導入される前の1997年、J1参入決定戦が行われた1998年、そして2019年の3回、最下位になりました。しかし、そのうち2回は降格を回避することに成功。それでも、降格した回数はJリーグ最多タイの4回となっています。
「北海道コンサドーレ札幌」は、チーム名が「コンサドーレ札幌」だった時代に3回(2002年、2008年、2012年)最下位になりました。しかし、2016年2月に現在のチーム名に変更してからは、一度も降格していません。
Jリーグ開幕当初、苦戦を強いられていた「浦和レッズ」は、2回(1993年、1994年)最下位になりましたが、これらは降格制度が導入される前だったため、降格は免れました。しかし、1999年には16チーム中15位となり、初めて降格の経験をしました。
「柏レイソル」は2回(1995年1st、2004年)最下位になりましたが、1995年は降格制度が導入される前で、2004年は翌年からチーム数が16から18に拡大するシーズンだったため、運良く降格を避けることができました。しかし、それでも3回の降格経験があります。
2023シーズン 降格チームの危険度
前半戦の順位と分析
2023シーズンのJ1は全チームが17試合を戦い前半戦が終了しました。この時点での下位3チームは「柏レイソル」と同じ勝点の「湘南ベルマーレ」。そして勝点1差の「横浜FC」です。
近年のレギュレーションでは、下位2チームが自動降格、さらに1チームが入れ替え戦を戦う形となっていました。そのため、本来ならばこれら3チーム全てが降格の危機を迎えている状況です。
しかし、今シーズンは特別なレギュレーションが適用され、最下位の1チームのみが降格となります。つまり、「1/18」という確率で「残留か降格」かが決まる、まさに天国と地獄の後半戦が始まります。
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
1 | 横浜F・マリノス | 36 | 11 | 3 | 3 | 37 | 20 | 17 |
2 | 名古屋グランパス | 35 | 10 | 5 | 2 | 25 | 14 | 11 |
3 | ヴィッセル神戸 ※ | 33 | 10 | 3 | 3 | 33 | 13 | 20 |
4 | 浦和レッズ ※ | 29 | 8 | 5 | 3 | 20 | 12 | 8 |
5 | サンフレッチェ広島 | 29 | 9 | 2 | 6 | 22 | 16 | 6 |
6 | セレッソ大阪 | 29 | 9 | 2 | 6 | 23 | 19 | 4 |
7 | 鹿島アントラーズ | 28 | 8 | 4 | 5 | 23 | 16 | 7 |
8 | 北海道コンサドーレ札幌 | 26 | 7 | 5 | 5 | 38 | 32 | 6 |
9 | 川崎フロンターレ ※ | 24 | 7 | 3 | 6 | 20 | 18 | 2 |
10 | サガン鳥栖 | 23 | 6 | 5 | 6 | 19 | 21 | -2 |
11 | アビスパ福岡 | 20 | 5 | 5 | 7 | 17 | 22 | -5 |
12 | FC東京 | 19 | 5 | 4 | 8 | 22 | 28 | -6 |
13 | アルビレックス新潟 | 17 | 4 | 5 | 8 | 19 | 28 | -9 |
14 | 京都サンガF.C | 16 | 5 | 1 | 11 | 20 | 28 | -8 |
15 | ガンバ大阪 | 16 | 4 | 4 | 9 | 21 | 33 | -12 |
16 | 横浜FC | 13 | 3 | 4 | 10 | 13 | 35 | -22 |
17 | 湘南ベルマーレ ※ | 12 | 2 | 6 | 8 | 23 | 28 | -5 |
18 | 柏レイソル | 12 | 2 | 6 | 9 | 16 | 28 | -12 |
※ 16試合終了時
降格危険度ランキング
J2への降格する制度が始まった1998シーズンより24シーズンにおいて、前半戦(1stステージ)で最下位だったチームが、そのシーズンの最終順位が最下位になったのかを調べてみました。
なお、1998年はPKでの勝利、2002年まではVゴール勝利は勝ち点2という方式を採用していました。
シーズン | クラブ名 | 最終順位 | 勝点 | 勝 | V | PK | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | |
1998 | アビスパ福岡 | 16位 | 7 | 2 | 0 | 1 | – | 10 | 22 | 47 | -25 | |
1999 | ベルマーレ平塚 | 16位 | 9 | 3 | 0 | – | 0 | 12 | 15 | 33 | -18 | |
2000 | 京都パープルサンガ | 15位 | 7 | 2 | 0 | – | 1 | 12 | 16 | 36 | -20 | |
2001 | 東京ヴェルディ1969 | 14位 | 10 | 2 | 2 | – | 0 | 11 | 16 | 31 | -15 | |
2002 | コンサドーレ札幌 | 16位 | 6 | 2 | 0 | – | 0 | 13 | 15 | 35 | -20 | |
2003 | 京都パープルサンガ | 16位 | 10 | 3 | – | – | 1 | 11 | 14 | 34 | -20 | |
2004 | セレッソ大阪 ※ | 15位 | 10 | 2 | – | – | 4 | 9 | 17 | 30 | -13 | |
2005 | ヴィッセル神戸 | 18位 | 11 | 2 | – | – | 5 | 10 | 17 | 35 | -18 | |
2006 | セレッソ大阪 | 17位 | 6 | 1 | – | – | 3 | 13 | 15 | 39 | -24 | |
2007 | 横浜FC | 16位 | 10 | 3 | – | – | 1 | 13 | 13 | 34 | -21 | |
2008 | ジェフユナイテッド千葉 | 15位 | 10 | 2 | – | – | 4 | 11 | 13 | 34 | -21 | |
2009 | 大分トリニータ | 17位 | 4 | 1 | – | – | 1 | 15 | 12 | 32 | -20 | |
2010 | 京都サンガF.C. | 17位 | 10 | 2 | – | – | 4 | 11 | 15 | 34 | -19 | |
2011 | アビスパ福岡 | 17位 | 8 | 2 | – | – | 2 | 13 | 13 | 35 | -22 | |
2012 | コンサドーレ札幌 | 18位 | 4 | 1 | – | – | 1 | 15 | 10 | 38 | -28 | |
2013 | 大分トリニータ | 18位 | 8 | 1 | – | – | 5 | 11 | 17 | 31 | -14 | |
2014 | 徳島ヴォルティス | 18位 | 8 | 2 | – | – | 2 | 13 | 7 | 37 | -30 | |
2015 | 清水エスパルス | 17位 | 13 | 3 | – | – | 4 | 10 | 22 | 32 | -10 | |
2016 | アビスパ福岡 | 18位 | 11 | 2 | – | – | 5 | 10 | 11 | 25 | -14 | |
2017 | アルビレックス新潟 | 17位 | 8 | 2 | – | – | 2 | 13 | 11 | 37 | -26 | |
2018 | 名古屋グランパス | 15位 | 10 | 2 | – | – | 4 | 11 | 15 | 33 | -18 | |
2019 | ジュビロ磐田 | 18位 | 14 | 3 | – | – | 5 | 9 | 12 | 21 | -9 | |
2020 | 湘南ベルマーレ ※1 | 18位 | 9 | 2 | – | – | 3 | 11 | 14 | 29 | -15 | |
2021 | 横浜FC ※2 | 20位 | 7 | 1 | – | – | 4 | 12 | 12 | 42 | -30 | |
2022 | ヴィッセル神戸 | 13位 | 11 | 2 | – | – | 5 | 10 | 15 | 25 | -10 |
※2:17試合終了時点での成績
最下位危険度
Jリーグの過去24シーズンを見ると、前半戦を最下位で終えたチームがそのままシーズン最終順位でも最下位になったのは11例あります。
これは全体の約「45.8%」にあたり、ほぼ半分のチームが前半戦の最下位から這い上がることなく、シーズンを最下位で終えています。
しかし、前半戦での最下位から抜け出したチームも約「54.2%」存在します。後半戦での巻き返しや、他チームの動向により順位は大きく変動する可能性があります。
前半戦で最下位になったからといってシーズン最終順位が最下位になるわけではないということが、過去のデータからも読み取れます。
ちなみに最下位にはならなかったものの、降格してしまったチームは7。ちなみにですが、これらのチームが優勝はもちろん、トップ3入りしたチームはありませんでした。
2005年にJ1が全18チームとなって以降、前半戦終了時点で勝ち点が14以下だったチームは、そのシーズンの最下位になっています。
なお、これまでの最下位となったチームの最高勝ち点は、2019年のジュビロ磐田が記録した31。一方で、最低勝ち点は、2012年のコンサドーレ札幌、2013年の大分トリニータ、そして2014年の徳島ヴォルティスが記録した14となっています。
2013年のシーズンは、大分トリニータがわずか2勝しか挙げられず、勝ち点14しか得られなかったため、ジュビロ磐田(勝ち点23)や湘南ベルマーレ(勝ち点25)という少ない勝ち点でも、それぞれの勝ち点で最下位にはなりませんでした。しかしこれらの3チームは、J2に降格になっています。
最終順位 | チーム | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
16位 | 湘南ベルマーレ | 25 | 6 | 7 | 21 | 34 | 62 | -28 |
17位 | ジュビロ磐田 | 23 | 4 | 11 | 19 | 40 | 56 | -16 |
18位 | 大分トリニータ | 14 | 2 | 8 | 24 | 31 | 67 | -36 |
これまでのデータを見ると、前半戦で勝ち点を二桁以上獲得することが、最下位、すなわち降格を避けるための重要な要素となります。
2023シーズンでは、その基準を満たすチームは存在しませんが、勝ち点15以上を獲得して後半戦に臨むチームは、最下位になり降格する可能性が高いと言えます。
・湘南ベルマーレ
・柏レイソル
前半戦を終え、この3チームの中から、1チームが最下位になることが予想されます。前半戦の結果を覆すため、監督の交代、新たな選手の追加、戦術の見直しといった大胆な改革が求められます。
残り17試合でどう巻き返しを狙うのか、そして最終的にどのチームが降格の運命を逃れるのか、後半戦の展開に目を離せません!!