東京ドームに天然芝敷いてサッカーしちゃった!
かつて「東京ドーム」でサッカーが開催されたことを知ってますか?!「バブル景気」の沸いた当時の人たちは、この無謀な計画を遂行すべき知恵を絞りぬき、あくなきチャレンジしていました。
「東京ドーム」がサッカーやラグビーなどの試合に対応できるようにと開発された簡易装着型の天然芝こそが「ビッグエッグターフ」です。「東京ドーム」の愛称の「ビッグエッグ」から命名されたんだろうなと思います。
Jリーグ開幕年の1993年7月19日 2ndステージのプレシーズンマッチとして「コカ・コーラカップ ’93 ヴェルディ川崎 vs. アストン・ビラ」にて、日本で初めて「ビッグエッグターフ」が使用されました。
場所:東京ドーム(ビッグエッグ)
コカ・コーラカップ’93 ヴェルディ川崎 vs. アストン・ビラ
当時、テレビ東京で放送してた中継のハーフタイム企画で、実況の金子勝彦さんが「ビッグエッグターフ」について説明していた内容をまとめました。(解説:奥寺康彦 ゲスト:川平慈英)
- ポリウレタン樹脂をベースにして、天然芝の種を松の木片で生育させる
- 幅1.2メートル×長さ10メートル(1枚の重さ200キロ!!)
- 638枚のターフを東京ドームに敷き詰めた
- 前夜に行われたジャイアンツ戦終了より250名以上のスタッフが約10時間で設営
- 費用が何と「5,700万円」
膨大な予算と尽力と苦労が凝縮された「ビッグエッグターフ」ですが、芝生の根付が悪くいたるところで腐ったり禿げ上がったりしたようです。 実際の映像で選手たちの動きを見ると、全体的に芝がふわふわした感じで、おそらく今まで味わったことがない感覚でプレーしているようです。芝の深さも場所によっては厚みが違うようで、選手のケガの心配をしてしまいますね。
さらに天然芝と消毒の独特な匂い(おそらく悪臭)が、東京ドーム内を漂っていた話もあり、4万人を超える観客はかなり厳しい状況下でのサッカー観戦だったのではと思います。
ちなみに試合結果は、前半にアストン・ビラのアトキンソンが先制ゴール。後半に入り、三浦知良のゴールで同点に(さすがキングカズです)。しかしアトキンソンが勝ち越しゴールを決めて、1-2でアストン・ビラが勝利しています。
「となりの芝は青く、東京ドームの芝は臭かった」
「ビッグエッグターフ」は、95年の7月までJリーグのプレシーズンマッチで使用されたようですが、設営費用のこともあり、その後使用された記録がありませんでした。
当時、サッカーは天然芝で行うというFIFAの規定に準じていたようですが、現在では「天然芝又はJリーグが認めたハイブリッド芝であること」と規定されています。昔、サッカーは天然芝でしていたんだなと回顧する時代になったんじゃないでしょうか。
屋外で、天然芝で、マスクもせず、大きな声を出して、サッカーをするって、これからの時代、最上級に贅沢な行為になるような気もします。