Jリーグのファンやサポーターにとって「多摩川クラシコ」は見逃せないビッグイベントです。しかし、その魅力や歴史を十分に理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、多摩川クラシコの全貌を明らかにし、その独特な雰囲気や名勝負を紹介します。
この記事を読むことで、多摩川クラシコの魅力をより深く理解し、観戦の楽しみ方が広がります。また、Jリーグファンとしての知識も増え、友人や家族との会話の幅も広がります。
2024シーズンは、3月30日に川崎フロンターレのホーム Uvanceとどろきスタジアムで、8月11日はFC東京のホーム 味の素スタジアムで行われます。今シーズンも多摩川クラシコを堪能しましょう!
多摩川クラシコとは?
多摩川クラシコの歴史と背景
「多摩川クラシコ」は、東京都を本拠地とする「FC東京」と、神奈川県川崎市を本拠地とする「川崎フロンターレ」が対戦するダービーマッチです。
両クラブを分ける象徴である「多摩川」と、スペイン語でいう伝統の一戦の意味の「クラシコ」を合わせ「多摩川クラシコ」という名が付けられました。
多摩川クラシコの名称となったのは2007年4月16日ですが、J2初年度の1999年での対戦からカウントされています。
Jリーグにおけるダービーマッチである「横浜ダービー」「静岡ダービー」「大阪ダービー」といった試合同様、両チームの熱狂的なサポーターが試合会場を埋め尽くし、勝利への熱い想いがぶつかり合うことから、日本国内でも特に注目される試合として広く認知されています。
プレーする選手たち、ファン、サポーターたちもこの一戦に懸ける気持ちがさらに高まり、多摩川クラシコは他の試合とは一線を画した熱気に包まれます。
過去の対戦成績
多摩川クラシコの歴史を語る上で欠かせないのが、過去の対戦戦績です。両チームはこれまで数々の熱戦を繰り広げてきました。その中からいくつかの印象深い対戦を振り返ります。
これまで43回の対戦成績は「23勝9分11敗」と川崎フロンターレが大きく勝ち越しています。
第1回 | J2/第4節 | 1999年4月4日 | 等々力 | 5,293人 | 川崎 | 2-2 | 東京 |
第2回 | J2/第12節 | 1999年5月16日 | 西が丘 | 3,147人 | 東京 | 0-1 | 川崎 |
第3回 | J2/第24節 | 1999年9月5日 | 西が丘 | 4,844人 | 東京 | 0-0 | 川崎 |
第4回 | J2/第32節 | 1999年10月24日 | 等々力 | 13,812人 | 川崎 | 3-2 | 東京 |
第5回 | J1/1st 第11節 | 2000年5月6日 | 駒沢 | 11,229人 | 東京 | 2-1 | 川崎 |
第6回 | J1/2nd 第3節 | 2000年7月8日 | 国立 | 8,036人 | 川崎 | 0-3 | 東京 |
第7回 | J1/第14節 | 2005年7月6日 | 等々力 | 13,118人 | 川崎 | 0-0 | 東京 |
第8回 | J1/第33節 | 2005年11月26日 | 味スタ | 24,226人 | 東京 | 1-1 | 川崎 |
第9回 | J1/第4節 | 2006年3月21日 | 等々力 | 14,191人 | 川崎 | 2-2 | 東京 |
第10回 | J1/第30節 | 2006年11月11日 | 味スタ | 23,251人 | 東京 | 5-4 | 川崎 |
第11回 | J1/第10節 | 2007年5月6日 | 等々力 | 14,983人 | 川崎 | 5-2 | 東京 |
第12回 | J1/第30節 | 2007年10月28日 | 味スタ | 30,494人 | 東京 | 0-7 | 川崎 |
第13回 | J1/第7節 | 2008年4月19日 | 味スタ | 22,283人 | 東京 | 4-2 | 川崎 |
第14回 | J1/第25節 | 2008年9月20日 | 等々力 | 20,729人 | 川崎 | 0-1 | 東京 |
第15回 | J1/第13節 | 2009年5月24日 | 味スタ | 27,851人 | 東京 | 2-3 | 川崎 |
第16回 | J1/第20節 | 2009年8月1日 | 等々力 | 21,379人 | 川崎 | 2-1 | 東京 |
第17回 | J1/第5節 | 2010年4月4日 | 等々力 | 22,199人 | 川崎 | 2-1 | 東京 |
第18回 | J1/第18節 | 2010年11月20日 | 味スタ | 28,480人 | 東京 | 1-2 | 川崎 |
第19回 | J1/第5節 | 2012年4月8日 | 等々力 | 20,996人 | 川崎 | 0-1 | 東京 |
第20回 | J1/第26節 | 2012年9月22日 | 味スタ | 34,822人 | 東京 | 1-2 | 川崎 |
第21回 | J1/第8節 | 2013年4月27日 | 等々力 | 26,555人 | 東京 | 2-0 | 川崎 |
第22回 | J1/第20節 | 2013年8月10日 | 等々力 | 17,864人 | 川崎 | 2-2 | 東京 |
第23回 | J1/第4節 | 2014年3月23日 | 味スタ | 23,172人 | 東京 | 0-4 | 川崎 |
第24回 | J1/第24節 | 2014年9月20日 | 等々力 | 18,805人 | 川崎 | 0-0 | 東京 |
第25回 | J1/1st第9節 | 2015年5月2日 | 味スタ | 42,604人 | 東京 | 2-1 | 川崎 |
第26回 | J1/2nd第1節 | 2015年7月11日 | 等々力 | 23,793人 | 川崎 | 2-0 | 東京 |
第27回 | J1/1nd第7節 | 2016年4月16日 | 味スタ | 29,208人 | 東京 | 2-4 | 川崎 |
第28回 | J1/2nd第5節 | 2016年7月23日 | 等々力 | 24,103人 | 川崎 | 1-0 | 東京 |
第29回 | J1/第4節 | 2017年3月18日 | 味スタ | 36,311人 | 東京 | 3-0 | 川崎 |
第30回 | J1/第20節 | 2017年8月5日 | 等々力 | 25,043人 | 川崎 | 1-1 | 東京 |
第31回 | J1/第13節 | 2018年5月5日 | 等々力 | 24,674人 | 川崎 | 0-2 | 東京 |
第32回 | J1/第33節 | 2018年11月24日 | 味スタ | 37,422人 | 東京 | 0-2 | 川崎 |
第33回 | J1/第1節 | 2019年2月23日 | 等々力 | 23,113人 | 川崎 | 0-0 | 東京 |
第34回 | J1/第19節 | 2019年7月14日 | 味スタ | 42,401人 | 東京 | 0-3 | 川崎 |
第35回 | J1/第3節 | 2020年7月8日 | 味スタ | 無観客 | 東京 | 0-4 | 川崎 |
第36回 | J1/第25節 | 2020年10月31日 | 等々力 | 11,061人 | 川崎 | 2-1 | 東京 |
第37回 | J1/第9節 | 2021年4月11日 | 味スタ | 17,615人 | 東京 | 2-4 | 川崎 |
第38回 | J1/第31節 | 2021年10月2日 | 等々力 | 9,789人 | 川崎 | 1-0 | 東京 |
第39回 | J1/第1節 | 2022年2月18日 | 等々力 | 17,544人 | 川崎 | 1-0 | 東京 |
第40回 | J1/第34節 | 2022年11月5日 | 味スタ | 34,820人 | 東京 | 2-3 | 川崎 |
第41回 | J1/第13節 | 2023年5月12日 | 国立 | 56,705人 | 東京 | 2-1 | 川崎 |
第42回 | J1/第27節 | 2023年9月15日 | 等々力 | 20,284人 | 川崎 | 1-0 | 東京 |
第43回 | J1/第5節 | 2024年3月30日 | 等々力 | 22,543人 | 川崎 | 3-0 | 東京 |
第44回 | J1/第26節 | 2024年8月11日 | 味スタ | 東京 | 川崎 |
多摩川クラシコ 誕生前夜の戦い
「多摩川クラシコ」と命名される誕生前夜のジャパンフットボールリーグ(旧JFL)で、両クラブは前身のチームで6回対戦しています。
FC東京の前身である「東京ガスサッカー部」と川崎フロンターレの前身である「富士通川崎フットボールクラブ」での対決から、伝説の試合は始まりました。
初対戦となった1996年は国立西が丘サッカー場と江戸川区陸上競技場で行われました。1,000人前後のコアなサッカーファンの観客が見守る中、初年度での対戦は東京ガスが連勝。Jリーグ加入前の対戦成績は東京ガスが「4勝2敗」と勝ち越しています。
第5回 JFL | 第7節 | 1996年5月25日 | 西が丘 | 1,158人 | 富士通川崎 | 0-2 | 東京ガス |
第5回 JFL | 第20節 | 1996年9月12日 | 江戸川陸 | 711人 | 東京ガス | 2-0 | 富士通川崎 |
第6回 JFL | 第8節 | 1997年5月21日 | 等々力 | 3,186人 | 川崎フロンターレ | 3-0 | 東京ガス |
第6回 JFL | 第21節 | 1997年9月8日 | 江戸川陸 | 1,150人 | 東京ガス | 4v3 | 川崎フロンターレ |
第7回 JFL | 第14節 | 1998年8月2日 | 江戸川陸 | 2,127人 | 東京ガス | 0-1 | 川崎フロンターレ |
第7回 JFL | 第28節 | 1998年10月18日 | 等々力 | 3,186人 | 川崎フロンターレ | 0-2 | 東京ガス |
多摩川クラシコではない直接対決
多摩川クラシコの番外編とも言える対戦、リーグカップと天皇杯ではこれまで5回対戦しています。その中でも2009年11月3日に国立競技場で行われた「2009 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 決勝」は大きなインパクトを残した試合となりました。
2009シーズンは、優勝争いを繰り広げている川崎フロンターレに対抗する形でFC東京が挑んでいました。ナビスコカップ決勝を前に行われた2度の多摩川クラシコでは、川崎フロンターレがアウェイとホームの両方で逆転勝利。
そんな戦前の下馬評を覆す形で、FC東京が番狂わせを演じ、2度目のリーグカップの栄冠に輝きました。
ヤマザキナビスコカップ | 決勝 | 2009年11月3日 | 国立 | 44,308人 | 東京 | 2-0 | 川崎 |
第96回 天皇杯 | 準々決勝 | 2016年12月24日 | 味スタ | 29,378人 | 東京 | 1-2 | 川崎 |
YBCルヴァンカップ | 準々決勝 1st | 2017年8月30日 | 等々力 | 10,998人 | 東京 | 2-0 | 東京 |
YBCルヴァンカップ | 準々決勝 2nd | 2017年9月3日 | 味スタ | 12,602人 | 東京 | 1-5 | 川崎 |
YBCルヴァンカップ | 準決勝 | 1998年8月2日 | 等々力 | 6,635人 | 川崎 | 0-2 | 東京 |
ナビスコカップFINALでの激闘
「多摩川クラシコ」名勝負数え唄
多摩川クラシコの歴史には、両チームのファン、サポーターはもちろんのこと、サッカーファンの心に深く刻まれた名勝負が数多く存在します。
その中でも特に印象的な試合を振り返ることで、このダービーのハイライトで圧倒的な試合展開、そして独特な雰囲気や緊張感を味わって、決戦に向けて気持ちを高めてください。
FC東京 大逆転での勝利
2006年11月11日に味の素スタジアムで行われた第10回の多摩川クラシコは、壮絶な打ち合いとなりました。
前半で1-3とリードした川崎フロンターレでしたが、53分にジョルジーニョ、84分にマルコンが退場となり、試合は大荒れの展開となり、ゴールが乱れ飛びました。
1点ビハインドのFC東京は、アディショナルタイムで宮沢正史と今野泰幸の連続ゴールがゴールネットを揺らし、FC東京が大逆転勝利を飾るという伝説の一戦になりました。
川崎フロンターレ 衝撃の7ゴール
FC東京の大逆転勝利からおよそ1年後の2007年10月28日、ふたたび同じ味の素スタジアムで対戦した両チーム。
この試合も川崎フロンターレが鄭大世の先制弾を皮切りに前半を終えて0-4。しかも鄭大世は前半だけでハットトリックを達成。
昨シーズンの敗戦を二度と繰り返さないと、後半に入っても攻撃の手を緩めない川崎フロンターレ。マギヌン、寺田周平、ジュニーニョがゴールを決める。川崎フロンターレはリベンジを誓ったアウェイの地で、FC東京相手に7ゴールでの完全勝利を飾りました。
3連覇を懸けた大一番
第40回多摩川クラシコは2022シーズンの最終節、11月5日に味の素スタジアムで行われました。3連覇の可能性を残している川崎フロンターレは、この試合に勝利するしかないという一戦でした。
川崎フロンターレは、19分に脇坂泰斗が先制ゴールしますが、29分にキーパーのチョン・ソンリョンが一発退場となってしまいます。数的不利な中、47分にアダイウトンのゴールで同点にされるも、61分にマルシーニョのゴールでリードを奪います。
74分にふたたびアダイウトンのゴールでふたたび同点にされますが、その直後に相手オウンゴールでみたび勝ち越し。
ドラマチックな展開で多摩川クラシコに勝利した川崎フロンターレでしたが、横浜F・マリノスが勝利したため、3連覇を逃しました。
第41回 多摩川クラシコ
多摩川クラシコ in 国立競技場
そして第41回を迎える多摩川クラシコは、2023年5月12日に国立競技場で「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」、そして「フライデーナイトJリーグ」として開催されます。
2009シーズンにFC東京が2度目のリーグカップを制覇を成し遂げて以来となる国立競技場での対戦は、実に15年ぶりとなり、今回が3回目となります。
聖地で行われた過去2試合はいずれもFC東京が勝利していますが、今回はどんな試合になるのでしょううか、その歴史の証人として、ぜひスタジアムで目撃してください!